
健康維持増進住宅
健康維持増進住宅シリーズ 5
今日は「アレルギー性疾患と住環境」の関係について解説します。
①アレルギー疾患率が上昇
児童のアレルギー性疾患の有病率が全国的に上昇しており、10年前と比べて2倍にまで増加しています。
②二人に一人がアレルギー性疾患を示す
全国の小学校4,5年生を対象に実施したアンケート調査によると50%の児童が何らかのアレルギー性疾患をあげています。有病率でいうと「アレルギー性鼻炎」33.4%「アトピー性皮膚炎」15.5%、「喘息」12.3%、「アレルギー性結膜炎」9.8%などの有病率が高くなっています。
アンケートにおいてアレルギーの原因として回答の多かったのは花粉・ハウスダスト・ダニです。
③影響が大きい”湿気”
上記のアンケート結果を分析した結果、アレルギー性疾患と居住環境との関連性について下記の要因が確認されています。
・遺伝的要因と気道過敏症や花粉症などとの関連
・工業地域における喘息との関連
・開放式ストーブと花粉症および何らかの症状との関連
・子供室の湿気と全てのアレルギー性疾患との関連
・居間お湿気と気道過敏症との関係
・結露と何らかの症状との関係
・カビと全てのアレルギー性疾患との関連
以上のことから、湿気が多い状態が結露やカビの発生を招き、その結果として児童のアレルギー性疾患の発症に何らかの影響を及ぼしている可能性が指摘されています。
④湿気と現代住宅環境について
昨今の住宅は気密性が向上し、不適切な換気計画が原因で室内の湿度が上昇し、それに伴い結露やカビ・ダニなどの微生物が繁殖しやすい環境となっています。さらに、各種建材、家具、家電製品、PC、生活用品、や殺虫剤などから科学物質が発生しており、VOCのみならず難燃剤などの添加物に含まれるフタル酸エステルや有機リンなどの発生の問題が指摘されています。
以上のことから、住宅計画では適切な換気と調湿建材の採用などで湿度上昇を防ぎ、家具・備品などから発生する化学物質に配慮する必要があることが分かります。
- 健康維持増進住宅シンポジウム
- 家庭内事故
- なぜいま健康維持増進住宅が必要か
- 住宅設計における健康という課題
- 住宅の健康に及ぼす要因
- アレルギー性疾患と住環境
- シックハウス症候群
- 入浴死
- 健康な住まいを作る技術
- これからの住まいと健康
- 心と体に優しい 木材
- 浴室のリラックス・リフレッシュ効果
- 健康な住まいのための冷暖房
- 健康な住まいのための冷暖房 2
- 心の健康を支えるペットと植物
- 心の健康を支える植物
- 睡眠と身体活動
- 睡眠障害の調整方法 光
- 温熱環境と睡眠の関係
- 運動や入浴による疲労回復
- 電磁波の健康被害(健康維持増進住宅の研究ではないので番外編)
- コミュニティと健康 1
- コミュニティと健康 2
- 第一回健康維持増進住宅コンペで評価されたこと
- インフルエンザ対策で重要な室内湿度
- 室内温度と湿度の関係
- 断熱住宅と健康の関係