「住宅論」心に残る言葉2

「住宅論」篠原一男=著
の心に残る言葉を記録する。
三つの空間がある。そして、この三つの空間以外には建築の
空間の原形質はない。機能空間、装飾空間、象徴空間。
個性的な建築とはそれをつくりだした建築家のなかに、たえず、
わきあがってくる体質のもつ特徴のことである。
住宅は芸術である。住宅設計と社会とのかかわり合いのあり方
において芸術であり、また芸術にならなければ存在理由がない。
都市からも、敷地からも、あるいは家族の構成からもすべて自由
な、建築家自身の出発点を大切にしなければならない。
プライバシー
多くの場合それは薄い木造壁に過ぎないから、プライバシーは
完全だとはいえない。しかし、平面図で見ている限りはプライバシー
は確保できたように見えよう。私はこのような観念的なプライバシー
を選ぶよりも、ふすまや障子などのきわめて分離性の悪い手段を
あえて使用して二つの部屋の独立性をつくろうと思う。1枚の見せ
かけの壁よりも、距離感の方が私にとってプライバシーの実体で
あるとかんじられることなのである。
建築家の仕事
一般の住宅が技術的計測にのっとってつくられることに原則的
に賛成である。しかし、住宅の価値はその方法で到達できない
空間の確立によってきめられるのだということを同時に確認して
ほしいのだ。なぜなら計測が到達できない地点から先が私たち
建築家の本来のの仕事であるからだ。
単純化のもつ力
私は正方形の平面を好んで使う。正方形は自己完結のもっとも
強い形であろう、もちろん円形を除いて。人間の生活空間という
ものは生物の動きの軌跡としての側面を持つから、このような
抽象形の洗濯はさまざまなズレを生じさせることになる。
しかし私にとってこの抽象形の採用はけっして生活の有機性の
無視からではなく、生活の様式の新しい飛躍を期待しての意図
なのである。
抽象化することによって空間に力が生まれ、その力が生活様式
の新しい飛躍を誘うのだということを理解してくれる家族の協力
がなければ、私の象徴的な単純化への作業は実現されないだろう。
正方形のような自己完結な形はいいかえれば他の空間への
呼びかけをもたないということである。その反対に完結しない形
はその欠如した空間があるために周辺への働きかけが生じて
くるものだ。住宅の集合を考えていくとき、この問題がどこかで
有効な役割を果たしそうな気が私にはする。

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