エコハウスの真実 26
今日は熱損失係数Q値と温熱環境の関係について解説しよう。
①Q値と暖房エネルギーの関係
熱損失が小さくなる(Q値が小さくなる)と、暖房に必要なエネルギーを
削減できる。同じ部屋で設置温度が同じであれば間違いなくQ値が小さ
い方が暖房にかかるエネルギー消費量を減らせる。
Ⅳ地域では
熱損失係数Q値が2.0のときに必要な暖房エネルギーを1とした場合、
3.0では2.5倍、4.0になると3.3倍もの暖房エネルギーが必要になる。
これはそのまま光熱費(電気代やガス代)に直結する。
Ⅳ地域の次世代省エネ基準のQ値が2.7なのに対し我が家のQ値は
3.95だった。2.7→3.95にUPしたことで暖房費は1.4倍となった。
②Q値と自然室温の関係
暖房していない部屋の温度を自然室温という。トイレや起床時のリビング
などの室温だ。冬季においてはこの自然室温が高いほど快適性や健康性
が向上する。
省エネ基準は住人の快適性の向上やCO2排出量削減などを目的として
段階的に上がってきた。Ⅳ地域のQ値と省エネ基準を次に示す。
旧省エネルギー基準(昭和55年)→等級2→Q値5.2
新省エネルギー基準(平成4年) →等級3→Q値4.2
次世代省エネ基準(平成11年) →等級4→Q値2.7
そして外気温と自然室温との温度差はおおよそ下記の関係となる。
等級2(Q値5.2)→2℃
等級3(Q値4.2)→4℃
等級4(Q値2.7)→6℃
Q値を2.0としたら→8℃
③Q値と住宅室内温度差の関係
断熱性能が向上すると、暖房室と暖房していない部屋の温度差が小さく
なるというメリットもある。Q値と住宅内温度差の関係はおおよそ下記の
関係となる。
等級2(Q値5.2)→7℃
等級3(Q値4.2)→6℃
等級4(Q値2.7)→4℃
Q値を2.0としたら→3℃
以上のように、Q値が分かれば室内温熱環境を具体的に説明することが
できる。我が家は次世代省エネ基準の仕様規定通り施工したにも関わらず
Q値は基準数値に達しなかった。
Q値2.7→3.95となったことで、暖房費は1.4倍となり、朝起きた時の
部屋の温度が2℃低くなったことと説明できる。
独創的な空間を設計する設計事務所の住宅こそ設計段階で温熱環境を
計算で確認すべきだと思う。何度でも言おう。Q値やμ値を計算で確認
しないということは温熱環境に責任を持たないということと同じだ。
■エコハウスの真実
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10.空気は熱を運ばない
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12・気密が必要な理由 2
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16.吹抜けに適した冷暖房機
17.冷暖房費を知るには
18.Q値とμ値って何?
19.Q値から暖房費を算出する 1
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22.大開口の注意点
23.通風の効果
24.自立循環関東ゼミ 発表資料作成
25.自宅のQ値分析
26.Q値と温熱環境の関係
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