建築知識という専門誌の原稿を執筆中です。数カ月後に発刊される号で私は住宅の温熱関係を執筆しています。昨晩は原稿の下データーとして6年前に竣工した住宅のQ値とμ値を算出しました。
6年前はまだ計算による住環境の確認は行っておらず、感に頼った設計をしていました。その当時の設計がどれほどの住環境となっているか。また窓面積を増減させたときのQ値とμ値を算出知る事が目的です。
現代住宅の温熱環境(Q値とμ値)は窓面積と窓性能に最も大きく左右されます。建物形状よりも窓面積と性能による影響が大きいのです。国土交通省では2020年までに全ての住宅の住環境性能をの計算を義務付けるよう準備しているようですが、私はすぐにでも義務化すべきと思っています。住環境の計算による確認はことさら高断熱住宅を目指すためにおこなうのではなく、住環境性能の把握のために行うべきです。
とはいえ、設計事務所が計算でQ値とμ値を算出するのはハードルが高いのが現実。そもそも住環境性能よりもプランやデザインへの関心が高いのが設計事務所です。住環境性能に関心のある設計事務所でも、Q値とμ値を計算するとなると大きな労力と感じて尻込みしてしまっています。
1度やってみると簡単なんですよ!!慣れれば2時間で算出できるのです。
こんな簡単な事をやらないということは住環境に責任を持たない設計をしているということと同じなのです。
そんなことから、少しでも設計事務所の方々がQ値とμ値を算出しようと思ってもらえるように、窓面積とQ値・μ値の関係性を調べてみたのです。まず最初に計算の基礎となるデーターを列記します。延べ床面積101m1、床と壁は高性能グラスウール厚90、屋根断熱は高性能グラスウール厚185、窓はアルミサッシ複層ペアガラス空気層12mm、というⅣ地域の次世代省エネ基準仕様規定そのままとしました。
延べ床面積に対する開口部の面積割合と算出したQ値結果を列記します。
21.4%→2.11
28.2%→2.32
34.1%→2.50
40,3%→2.69
48.5%→2.94
Ⅳ地域のQ値は2.7以下という基準ですので、延べ床面積の40%以上の開口面積となると基準に達しない可能性が高いということが分かりました。建物形状が横長になったり熱損失部分があればQ値は悪くなりますので、延べ床面積の35%以上の開口面積となった場合は計算で確認したほうがいいですね。
計算で確認して目標Q値に達していなければ窓仕様をアルミ樹脂サッシやLow-Eペアに変更するなどして開口部の断熱性能を強化すればいいのです。簡単でしょ?
住環境性能+Design住宅 森建築設計
窓面積とQ値の関係を算出してみました

コメント