妹島和代氏設計の賃貸住宅が竣工から1年経っても空室が目立つという情報がツイッタ―を賑わしている。ツイッタ―ではこの賃貸物件を扱っている不動産屋への意見と回答というものが多いが、この事実はもっと大きな問題を提起している。この賃貸住宅は「石神井アパートメント」、妹島さんらしく透明感があり内部と外部が複雑に入り組む構成のすばらしい建築だ。
「プリツカー賞受賞建築家のつくる家」妹島和世氏の集合住宅が賃貸物件として苦戦していることへの反響ツイッタ―まとめページ
http://togetter.com/li/434273
不動産屋の視点から見れば不人気物件。建築家の建てる集合住宅には時々あり得る事です。「芸術」と「経済活動」の間にある大きな隔たりが、ここには存在します。賃貸物件情報を見ると、64m2(19.4坪)で19.8万円の賃貸料です。坪1万円強ですから賃貸料が高い事と透明すぎる事が原因ではないかと感じます。屋根付の大きな屋外バルコニーもあるので賃料以上の価値があると思いますが、内覧者は割高な賃料以上の価値を感じなかったのでしょう。竣工から1年、この物件は事務所利用なども含めて8割ほど埋まったそうです。
立地・賃料・意匠性・設備など賃貸住宅の選定要素は様々です。青山にある透け透け賃貸物件では芸術家を中心にすぐに満室になったという事実もあるので、立地条件によりふさわしい特徴を考える必要があるでしょう。私は「競争力ある特徴」・「適正な賃料」・「価値の永続性」の3点を確保できるような賃貸住宅を作りたいといつも考えています。設計事務所の責任は大きいですね。この記事は石神井アパートの建築的な魅力を批判する意図はありません。場所性って大事だよねということを伝えたいために投稿した記事です。
石神井アパートの他写真などの情報が下のページをご覧ください。
yoshiharu’s blog:石神井アパートメント/妹島和世+西沢立衛/SANAA
http://kikuchi-y.cocolog-nifty.com/ykaa/2012/05/sanaa-19c5.html
at home http://www.athome.co.jp/kr_01/dtl_5688171801
コメント