
一昨日のブログに続いて、またテニスの話題である。昨日書かずにはいられない大きな一戦があったからだ。全豪オープンテニス男子シングルス4回戦が行われ、第16シードの錦織圭(日本)は第1シードで世界ランク1位のR・ナダル(スペイン)に6-7 (3-7), 5-7, 6-7 (3-7)のストレートで敗れた一戦だ。
これまで錦織とナダルはハードコートで2戦、芝コートで2戦、クレーコートで1戦し5戦全敗。そのうち錦織がセットをとったのは、2008年AEGON選手権の時の1セットのみ。昨日の一戦で対ナダル船6戦全敗という結果にななったが過去5戦とは大きく違う1戦だった。
凡ミス数はナダルの28に対し、錦織は51本もの凡ミスを犯した。ウィナーの数は両者36本。また、錦織がネットに出た時のポイント獲得率は80パーセント。これは世界1位のナダルにチャレンジャーとして攻め続けた結果だった。錦織は随所にスーパープレーを披露した。ナダルの得意とする左利きフォアの逆クロスを封じる配球とベースラインから下がらずに打ち続けることでラリーの主導権は60%を錦織が握って優位に進めていた。世界1位のフットワークと呼ばれるナダルが足をとめてしまうドロップショット、得意のフォアハンドに加えてバックハンドのパッシングショットなどを決めて対等に競り合っていた。凡ミスの数は果敢に攻め続けた証拠でもある。対等にラリーしていても錦織はトップギアというよりも余裕を持ちながら打っている印象を受けたのは昨年から大きく成長した点である。
錦織にとってベストといえる試合展開でありながら負けてしまった原因は何だったのか?
ナダルは12本のサービスエースを放ち、ファーストサーブが入った時のポイント獲得率が71パーセントだったのに対し、錦織のサービスエースは2本。大事なポイントで集中力を一気に上げてくるナダルに対し、錦織は大事なポイントでミスが目立った。この2点が僅差で敗れてしまった原因である。ナダルのセカンドサーブ時に錦織は70%ほどの高いポイント獲得率で試合は拮抗したが15-40のブレイクチャンス時に凡ミスを重ねるなど大事なポイントを落としていた。サービスエースの少なさは錦織のサービスキープを難しくしていた。第二セット第10ゲーム、錦織がサービスキープしていればセットカウント1-1となっていた場面で1本のサービスエースを取っていれば状況は逆転していたかもしれない。両者精神的にもぎりぎりの中で戦っている状況ではたった1本のミスやエースが勝敗を左右するのだ。
試合時間は3時間17分だった。トータルポイント獲得数はナダルが129、錦織が110、その差は19。この差を縮めて、近い将来、錦織がナダルから勝利をあげられるか。現在24歳の錦織がナダルを破る可能性を感じさせた1戦だった。対戦後のインタビューでナダルとの差を問われた錦織は「近いような遠いような・・・」と答えたそうだ。久しぶりに身震いするほどの感動と見終わったあとの脱力感、悔しさを感じた大きな一戦だった。
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