本当の快適を知らないことの不幸

【本当の快適を知らない不幸】
私はホームページやブログを通じて「断熱性能」や「気密性能」の重要性をことあるごとに説明しています。その部分だけを見た人は私が外界を遮断した北欧型の建築を目指しているのかと誤解することがあるようなので私が考える「快適」について説明します。
皆さんはどういう時に快適だと感じますか?

私は毎日の生活の中で、「あっいま快適だな~」と意識することはほとんどありません。これはこのブログを読んでくださっている多くの方々も同じでしょう。空調機による温度調整を行うようになってから、快適とは主に「不快ではない状態」を意味するものとなっています。ここで考えていただきたいのは「快適さの質」です。

私は仕事柄オープンハウスという住宅見学に行くことが多いです。今年も断熱気密強化型住宅、自然との呼応を目指した住宅、設備技術で均一な環境を目指した住宅などのオープンハウスを見学しました。それぞれの住宅は目指す「快適さ」が違います。設備技術で均一な環境を作っている住宅は、すがすがしさや、さわやかさといった情緒的な感覚が足りないように感じます。自然との呼応・調和を目指す住宅は温熱的な不快感を与えるものが多いです。断熱気密強化型住宅は閉鎖的な印象で自然に親しむ感覚が足りません。

作り手側の目指す快適さにより完成する住宅が変わります。不快ではない状態を目指す住宅、自然との調和は感じるが温熱的には不快な住宅、俗に快適住宅と呼べれる住宅は様々ありますが最大の不幸は本当の快適を知らない事です。作り手側と住人側の双方が本当の快適を知らないために、住人は作り手側が目指す快適住宅を受け入れる他ありません。椅子の選定ならば様々な椅子に座って比べることが可能ですが、住宅は住み比べることができないため本当の快適を知る機会がないのです。
私が目指す快適住宅は、消費するエネルギーは断熱気密強化型住宅と同じで、爽やかさやすがすがしさといった身体の感覚に感応する気持ちよさのある住宅です。五感だけでなく、空間認識感覚や記憶感覚なども刺激する住宅です。

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