低炭素住宅 2 メリット

低炭素住宅

今日は低炭素住宅のメリットについて解説します。

まず最初に昨日お話しなかった文頭の写真について解説しましょう。この挿絵は国土交通省が作成した低炭素住宅冊子のあるものです。国が想定している低炭素住宅仕様ということですね。

東京や神奈川など比較的温暖な地域で、一般工務店が普通の工法を使って低炭素住宅を作るとしたらこの写真のような住宅になります。断熱仕様は最低基準、特に窓は最低以下の性能と考えた方がいいです。

快適性と劣化対策を考えると普通複層ガラス窓では明らかに不足しています。また内側防湿シートは確実な施工管理が必要な次善の策です。このような断熱仕様に高効率給湯器や創エネ設備などで手炭素住宅とするという仕様になっています。

何度でも言います。長期優良住宅と同じで低炭素住宅の仕様も断熱性能については最低基準だと認識してください。断熱化に掛けるお金を設備や創エネ設備に回して省エネ化しちゃえという荒っぽい手法です。

さて本論である低炭素住宅のメリットについて解説します。
昨日のブログでお話した通り、低炭素住宅の認定を取得するには15万円ほどの費用が必要です。
メリットは税制上のメリット、金利引き下げ、補助金、容積率の緩和がありますので一つ一つ解説します。

(1)税制上の優遇
住宅ローン控除の上限割増100万円、登録免許税の優遇措置など認定長期優良住宅とまったく同じ優遇措置がありますので過去のブログを参照してください。では不親切なので同じ内容を載せておきます。
住宅を新築したときには、所得税から住宅ローン残高の1%を10年間減額できます。消費増税による影響を軽減するための措置として2019年6月までは一般住宅の減税額上限は400万円、認定長期優良住宅は上限が500万円に設定されています。ただし住宅ローン控除はローン残高の1%を所得税と市県民税から差し引く仕組みなので、そもそも所得税と市県民税を年間40万円以上~50万円以上払っている人でないと税制控除を満額得ることはできません。またローン残高が10年間4千万円~5千万円残っている人でないと満額得ることはできません。認定住宅にすれば税制控除額が100万円増額されるのですが、制度の恩恵を得られる人はそれほど多くありません。
住宅ローンを利用しない場合でも認定住宅であれば所得税の控除が受けられる措置があります。認定住宅の性能強化に必要な掛り増し費用が対象で、上限65万円が所得税から控除されます。控除しきれない部分は翌年度の所得税から控除されます。標準的な掛り増し費用は1m2あたり4万3800円で、2017年末までの措置です。
この他にも、登録免許税と不動産取得税について一般住宅よりも優遇措置が設定されています。が優遇される額は大きくはありません。

(2)金利引き下げ
こちらも認定長期優良住宅とまったく同じ。フラット35の金利引き下げ措置があります。
住宅金融支援機構のフラット35を使った住宅ローンで金利引き下げの制度があります。フラット35Sという商品で、認定長期優良住宅は通常よりも低い金利が適用されます。一般のフラット35と比較して、当初10年間、0.6%低い金利が適用されます。例えば、食入金3000千万円、借入期間35年、元利均等返済ボーナス返済無しのケースを想定すると、一般と認定住宅では約174万円総返済額が少なくて済みます。
のですが、現在民間金融機関がフラット35よりも低い固定金利を設定しており、フラット35を使わなければいけない人以外にはあまりメリットはありません。

(3)補助金
2015年度予算で中小工務店が建てる地域型の低炭素住宅建設にあたり100万円(地域材を過半に使う場合は20万円増額)を上限に補助金が受けられる事業の募集が開始されました。開始といっても地域型住宅を作るグループの募集で、国に採択を受けたグループが建設する住宅に対し補助金を使えることになります。
この案件は別のブログで解説する予定です。

(4)容積率の緩和
低炭素建築物の床面積のうち、認定基準に適合させるための措置により、通常の建築物の床面積を超えることとなる床面積は、建築物の容積率の算定の基礎となる延べ床面積への算入が免除されます。(蓄電池、蓄熱槽等)

以上が低炭素住宅のメリットです。

認定を取得するには、設計段階で確認申請とは別に評価機関による技術的審査を受けて適合証を発行してもらい、所管行政庁へ認定申請をする必要があります。これらの図面と書類作成と、評価機関への審査料などが合計で15万円ほどかかるということです。

な~んだ、メリットは長期優良住宅と同じか。と思われる方もいるかもしれませんが、メリットは同じですが認定に必要な申請費用や工事費増が大きく違うので、圧倒的に低炭素住宅をお勧めします。

長期優良住宅は床面積や基礎高(床下高さ)、浴室仕様など細かな仕様が決めれれて使いにくいのですが、低炭素住宅はそのような縛りはありません。建築研究所の一次エネルギー消費量計算プログラムで普通の住宅より10%以上省エネであることを証明しすればなんら難しいことはありません。費用対効果の高い政策と言えます。

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