続・エコハウスの真実1「家づくりは夏を旨とすべし?」

続・エコハウスの真実シリーズ執筆にあたり

数年前にブログ掲載したものに「エコハウスの真実シリーズ」がございます。当時は断熱性能に対する一般的な理解が薄く、住宅業界がエコハウスという曖昧な言葉に踊らされている状況でした。エコハウスに興味ある人の関心は快適で外部環境にも負荷の小さい住宅だと思うのですが、各社独自のエコハウス理論を展開することから訳が分からなくなっていた、というのが実際です。

断熱性能や気密性能に対する理解が進んできたことから、数年前のブログを読み返しながら私の現在の所見も加えながら「続・エコハウスの真実」シリーズをお伝えすることとしました。今日はその第一回です。

家づくりは夏をむねとすべし?

吉田兼好の徒然草の一節に「家の作りやうは、夏をむねとすべし」とあります。日本人の心に浸透した名句となり、住まいは夏を旨とすべしと一般にも使われるようになりました。

住まいは夏を旨とすべし、と聞くとなにやら耳障り良く過ごしやすい住宅がイメージされますね。ここで考えたいのは吉田兼好の生きた時代の住宅を現在の住宅事業はまったく違うということです。冷暖房設備もまったく違います。さらに、温暖化やヒートアイランドの影響から都市部の平均気温が上昇しています。
夏と冬どちらを重視するか、と問われたら私は「冬を旨とすべし」と答えます。そしてその次に中間期から夏季の日射遮蔽と風通しをよくよく考えよと答えます。

そもそも人間は寒さと暑さどちらに強いと思いますか?人それぞれ好き嫌い、強い弱いはありますが、哺乳類という大きなカテゴリーで比較すると、人間は極めて暑さに強い動物です。30度を超える炎天下のなか42キロも走ることができるのは人間と馬くらい。優れた発汗機能による体温調整能力が高いのです。
裸の状態を想定すると逆に低温側は20度が限界です。体毛が少なく脂肪も薄い人間は寒さに極めて弱い動物です。

省エネ・エコの観点から考えてみましょう。住宅の消費エネルギー割合を分析すると、暖房に費やすエネルギーは23%、冷房に費やすエネルギーは僅か2%しかありません。断熱性能を高めた家づくりを優先したほうが省エネに貢献できることが分かります。

オルゲーの生気候図

気温・輻射熱・湿度・風速の4つの関係から人間の快適域を示したものがオルゲーの生気候図です。夏は湿度が低く風があれば30度を超える高温でも許容できますが、冬は輻射熱がなければ20度が下限です。また湿度が60%を超えると人間の快適範囲が急激に狭まっていくことも読み取れます。

夏の室内の最高気温は、日射を遮り通風を確保すれば35度がせいぜいですが、冬の室内温度は無暖房室で5度という日もあります。快適温度との差から考えれば冬の寒さへの対応が重要なのは明白ですね。

実務レベルでお話すると、断熱性能を高めることで冬の無暖房室の室温を15度とすることも可能です。また真夏の室温を外気温度よりも2度低くすることが可能です。正しい知識と設計スキルにより極力機械的な空調に頼らない住宅を建設できます。加えて二酸化炭素発生量も削減できるので地球にも優しいと言えますね。

今日はここまで。次回の「続・エコハウスの真実」シリーズはハウスメーカーの取り組みについてご説明します。

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