続・エコハウスの真実2「ハウスメーカーの取り組み」

快適・不快と感じる要素

人間が快適とか不快と感じる理由をご存知でしょうか?

室内での快適度に影響を与える要素は、気温・輻射熱・室温・風速・色彩・素材・外の風景・部屋の大きさなどの外的要因と、着衣量・活動量・体調・同室者などの人的要因で決まります。このうち気温・輻射熱・室温・風速の4つの関係から人間の快適域を示したものが前回ブログでお伝えしたオルゲーの生気候図です。この4つに加え着衣量と活動量の二つを加えた要素から快適度を評価する指標がPMV(=Predicted Mean Vote)です。色彩や部屋の大きさ、体調や同室者などはこの評価要素には入っていません。快適度に影響を与えることは分かっていますがまだまだ研究途上なのdす。

ここまでご説明して、「おや?」と感じた人がいたとしてらその人は相当に勉強されている方でしょう。住宅の性能を論じるなかで「断熱性能」や「気密性能」という言葉がハウスメーカーなどで語られていますね。断熱性能は上でご説明した快適度を示す評価要素には入っていません。断熱性能は快適な環境を作るための一つの技術的な方法で、その結果である室温と床壁天井の表面温度による輻射熱が快適度に関わっているのです。今日お話しするハウスメーカーの取り組みは、快適度に影響を与える様々な要素のなかの、温度と表面温度に影響を与える一つの建築技術である「断熱性能」についてのハウスメーカーの取り組みです。快適度に関わるごくごくごく一部であることをご理解ください。

ハウスメーカー各社の取り組み

主要なハウスメーカーの省エネ・エコハウスに対する取り組みの概要を見てみると、二つの方向性が見えてきます。
①次世代省エネ基準以上に断熱性を強化して性能的優位性を発信する
②太陽光発電やエネファームなど創エネでゼロエネ化していく

ここでハウスメーカー各社が公表している断熱性能を紹介します。各社の最高級グレードの性能をプロットしたものです。イニシャル略称表示ですが、ハウスメーカーでの住宅建設を検討されている人は想像がつくことでしょう。

縦軸が断熱性能を示し、上に行くほど断熱性能が高いことが分かります。横軸は窓などによる自然換気性能で、右に行くほど風通しで涼しいということが分かります。ヒート20という組織が提案しているG1グレード~G2グレード付近に集中していることが分かります。建売住宅や一般的な設計事務所住宅と比べると高断熱住宅と言えます。換気性能10未満では下記に風通しで涼を得ることはとてもできないので結果的に機械空調に頼る住宅となってしまいます。

断熱性能UPとゼロエネに力を注ぐ理由

ハウスメーカーが断熱性能UPと創エネに力を注ぐ理由を考えてみましょう。
次世代省エネ基準の断熱性能で住宅を建設すると、壁や屋根の断熱性能は同じ仕様になります。建物形状によって家全体の断熱性能が変化しますが、壁や屋根からの熱損失の差はせいぜい20%程度で、冬の熱損失の約50%は窓から損失します。また夏の日射取得の約80%は窓から入ってきます。ハウスメーカーはこのことを良く知っていて、エコハウスのポイントは窓の設計にあることに気づいています。そこでハウスメーカーの二つの傾向が現れてくるのです。

①次世代省エネ基準以上の高断熱住宅で省エネを実現する
高断熱住宅を作る簡単な方法は、断熱性能の高い窓を採用し、大開口は作らないことです。ハウスメーカーの取り組みで目に着くのは壁や屋根の断熱性能を上げながら窓にアルミ樹脂複合Low-Eペアガラス窓をを採用する。さらに高断熱を売りにするハウスメーカーはトリプルガラス窓を採用するいうものです。断熱性能を上げるために窓が小さくなるので中間期~夏季の風通し性能は悪くなります。

②太陽光発電やエネファームなど創エネに力を注ぐ
宣伝文句を使いたいというハウスメーカーは創エネに力を注ぐ傾向にあります。国土交通省が決めたゼロエネ基準は「G1グレード+高性能設備機器+創エネ」で実現できるので他社との差別化を図るため創エネを導入して「ゼロエネ化」しています。創エネによる光熱費削減とゼロエネは消費者の受けが良く販売塔数が伸びるのです。結果的に断熱性能はG1~G2グレードに集中しているのです。

断熱性能とゼロエネ以外に手がない

最後に、ハウスメーカーが断熱性能向上とゼロエネ方向に進む大きな理由をご説明します。

本来、住宅設計は1軒1軒の敷地ごとに光の入り方や風の抜け具合を読みプラニングするものです。それこそが自然エネルギーを有効活用する基本中の基本ですよね。その基本がハウスメーカーには出来ない。ハウスメーカーには、敷地ごとに光の入り方や風の抜け具合を読んで個別にプラニングする体制と能力がないのです。その結果、光の入らな窓や風の入らない窓を作り、断熱性能を上げて創エネや機械的空調で住環境を確保するゼロエネ住宅へと進む傾向があります。四季を通じた快適性に大きく関わる「日射取得性能」・「日射遮蔽性能」・「風通し性能」を説明できません。またこれら性能から実現する室温変動や省エネ貢献度も説明できないために、最も分かりやすい断熱性能を高め消費者の受けのいいゼロエネ化を進めるしかないです。

今日はここで終了。
次回は設計事務所住宅の省エネについて分析する予定です。

タイトルとURLをコピーしました