自然素材、汚染されていない材料を用いるー建材の選択ーバウビオロギー25の指針

自然素材、汚染されていない材料を用いるー建材の選択ーバウビオロギー25の指針

ジューダン、家具、マットレスが臭うので、鼻を覆ったことはありますか。あるいはそれによって、頭痛、目が痛い、アレルギーが発生したことはありますか?

自然界は私たちに多くの自然素材を贈ってくれているにも関わらず、私たちはなぜ溶剤、可塑剤、殺虫剤、重金属など、健康に負荷をかける含有物を含む人工的に合成された素材を用いるのでしょうか。自然界の贈り物である自然素材を用いる利点は実にさまざまございます。匂い・手触り・調湿・体感温度向上・サステナブル・有害物質の発生抑制・音環境を整える・柔らかな色彩などです。私たちが栄養として体に取り込む食物、あるいは呼吸する空気は、私たちの快適感や体調を左右します。建材も同じなのです。人間の退化した五感がそれを感じ取ることができようができまいが、すべてのものが我々に物質的・心理的な影響を及ぼすことには変わりありません。建材と、それが構成する建築空間そのものが作用を及ぼしているのです。

ー調湿性ー

建材の調湿性とは、空気中の湿気(液状のものも含む)を吸収・伝達・放出する能力のことをさします。どの材料も一定の平衡含水率を持つが、その値に落ち着くまでの調整時間は、例えば木材や木質系素材の場合で数分から数時間かかります。室内環境にとっては、調湿性のある材で構成された面が室内に十分に確保されていることが重要です。吸湿性のある材は、バランスのとれた空気温度をもたらし、湿度の変動を抑えるのです。さらに調湿性のある材は水蒸気を拘束し、窓やドアの開閉による換気の際に水蒸気が失われるのを防ぐことができるため、空気湿度のバランスをとる効果もあり結露抑制にも寄与します。屋内の空気湿度を短時間で調整するための決め手となるのは、部材表面の2cm~3cmの層です。したがって床壁天井の仕上げ材に注意を払うことが重要です。また、部屋の調湿能力の約半分は家具や調度品が果たしていることを忘れてはいけません。調整性のある家具があるかないかで調湿性能は大きく変わります。

ー体感温度向上ー

木材の熱特性は他の建材とは大きく異なります。密度が同じあるいは似ている他の建材と比較してみると、容積比熱値は非常に大きく、温度拡散率は非常に小さいです。この特性は言い換えると、蓄熱量が大きく蓄熱時間が長いことを意味しています。この特性から外部あれば外壁に適しており、室内であれば陽の当たる床や壁に適しています。床であれば杉などの軟質材であればより効果が高いです。

ーラドンー

放射能を示さないというのは原発事故との関係ではなく、主に土中や建材から発生するラドン(
Rn-222)の問題です。花崗岩、軽石、化学石膏、スラグレンガは推奨できない建材の一例です。放射能による障害は数十年後に先延ばしされ、因果関係がほとんど確かめられない状況にありますから、恒常的な換気が唯一の対処方法です。

※ラドンの問題は主にヨーロッパで注意が必要

ー色彩ー

人間の魂、精神、肉体は色彩によって影響を受けていることは疑いのないことです。自然環境の色彩は極めて多様で多彩です。反して人工的な色彩は大抵「モノクローム(単色)」であり、色のスペクトルのほんの僅かな周波数帯を振動するにすぎません。私たちの居住環境が健康と快適性を促進し、病を癒すべきものであるならば、色彩を軽視してはいけません。あまりにも多くの異なる色や大きすぎるコントラストをもった色は使わない、穏やかな色をベースにアクセント色を使うことで精神を刺激して活気づけてくれる。自然環境のなかにある自然素材はたいていの場合、大面積に使っても問題にはならない。

いくつかの事例です:

木・土・レンガでできた壁/亜麻、麻、ジュート、ワラ、木質繊維、セルロースからなる断熱材/土や石灰、天然顔料でできた塗料や塗り壁材/無垢材の窓やドア/表面仕上げに自然塗料の塗布/天然石/タイル、フローリング、コルク、リノリウムなどの床材/サイザル麻、コットン、無処理の羊毛などのジュータン/無垢材、籐、竹でできた家具、また天然繊維との組み合わせ

このような材料はたいてい、私たちの健康に良いのみならず、匂いがしない、もしくは良い香りのするようなメリットを提供します。静電気を帯電せず、調湿性に優れ、エコ収支も素晴らしいです。

BIJバウビオローゲ 森健一郎

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