エコ収支の観点から材料を選ぶー持続可能な環境の形成ーバウビオロギー25の指針

地域固有の建築工法を優先し、エコ収支の観点から最もふさわしい材料や経済循環を選ぶ

ー持続可能な環境の形成

ーバウビオロギー25の指針

自然素材、天然資源を用いた住まいは環境にどのような作用を及ぼすのでしょうか?

地域の工法、材料、企業は故郷(心の拠り所、アイデンティティ)を創造し、地域の手仕事品を強化し、地域の経済を促進します。しかしそれだけではなく、建物、インテリア、家具のエコ収支を大幅に改善することができます。

「エコ収支とはある製品の生成の道筋に沿って、環境への影響を評価するためのツールであり、つまり原料取得から、製造、利用、リサイクリング、転用利用を得て廃棄に至る生涯の道をたどることです。」

近郊の森の木を用いた木造建物は、鉄筋コンクリートの建物よりも建設に必要なエネルギーが大幅に少ないことは明らかです。同じことが、海外から輸入されたプラスチックベースの断熱材と比較して、地域農業からのわら、麻で作られた断熱材に当てはまります。

―住宅の構法別のCO2発生量―

エコ収支とは製造から廃棄に至るライフサイクルCO2排出量のバランスをとることです。住宅のCO2発出量の割合は、建設時2割、居住時7割、廃棄時1割の内訳となります。このことから居住時のCO2発出量を抑えることが全体としては最も効果が高いことがたかりますね。

建設時に限って考えると、木造住宅と鉄筋コンクリートは1:2~1:3の比率で、鉄筋コンクリートの方が木造住宅より2倍~3倍のCO2排出量があります。比率の差は、日本で普通に建設されている木造住宅か、主に再生可能な原材料からつくられた木造住宅かの違いです。

木造住宅単体で考えると、基礎コンクリートのCO2排出量の割合が最も高く、建設時に発生するCO2の1/4が基礎コンクリート築造で排出します。

居住時のCO2排出量は構造による差はあまりありません。次に住宅建設時のCO2排出量を考えてみましょう。参考になる資料としてCASBEEが示している「住宅1m2・1年当たり」のCO2排出量をkg単位で表した資料を紹介します。1年当たりなので寿命が長くなればなるほど数値が小さくなっているのです。住宅が長寿命化すればするほど1年当たりのCO2排出量が減少する、長寿命化することがエコロジーということですね。

この表から延床面積100m2で試算した建築工法別のCO2排出量が下の数値になります。

・一般的な木造住宅     :267,420(kg-CO2)

・再生可能な原材料の木造住宅:178,280(kg-CO2)

・鉄筋コンクリート住宅   :504,900(kg-CO2)

・鉄骨造住宅        :451,560(kg-CO2)

―建材の製造エネルギー量―

住宅に使用される建材の製造エネルギーの差は住宅建設時のCO2排出量に直結します。様々な建材別の二酸化炭素排出量が下のグラフです。(kg-CO2/m3)

・天然乾燥材 ⇒  54 kg-CO2/m3

・人口乾燥材 ⇒ 363 kg-CO2/m3

・防腐処理人口乾燥材 ⇒ 494 kg-CO2/m3

・合板    ⇒ 572 kg-CO2/m3

・パーティクルボード⇒ 821 kg-CO2/m3

・鋼材    ⇒ 19596 kg-CO2/m3

・コンクリート⇒ 440 kg-CO2/m2

―建築工法―

人類の歴史が始まって以降、どの文化圏にも様々な建て方が存在してきました。古い時代の建て方は、それぞれの宗教、風習、自然の所存在や大地の様々な力とのつながりに適応したもので、精神的な世界と一体化した生き方の調和的なあらわれでした。

近代の建築工法は、自分たちが作った人工的な環境に囲まれたなかで、人工的な建材と用いて地域性のない建物が建築されています。私たちのルーツともいえる根源的な自然環境は背後に押しやられてしまっているともいえます。都市計画的にみれば、様々な建築法規が実験的な建て方の実現を阻んでいる。制限を課す建築法規は、望ましくない方向への逸脱を防ぐことには役立つかもしれない、しかしこれは同時に、環境に配慮した建築文化の発展を阻害するものともなっています。

工法:部材の流通から組み立てまでの一連の手法、システム
構法:部材と部材の組み合わせ、組み立て方法
※木造軸組や枠組は本来は「構法」ですが、枠組工法の呼び名が認知されている。

この場で様々な工法(構法)の解説をしても意味がないので、どのような工法(構法)があるのかを紹介いたします。
・木造軸組工法
・木造枠組工法
・丸太組工法(ログハウス)
・マッシブホルツ工法(ログハウスをモダンにした工法)
・ハーフティンバー工法(ドイツに伝わる木組みの家)
・組積造(コンクリートブロックやレンガを積み上げる工法)
・版築(土を突き固めて壁を形成する工法)
・土ブロック工法
・ストローベイル建築(圧縮されたわらを積み重み上げる工法)
・押出し成型レーム工法(3Dプリンター)
・鉄筋コンクリート構造
・鉄骨造
・混構造

方言が地域に根づいているように、現地の言葉を語る建物が本来の姿です。この願いはエコロジーと文化の複合問題です。地域に根差した材料を使っても多様な表現は可能だということを我々は再認識する必要があります。バウビオロギー的な建築は、全体性を重視します。昔の建築を懐かしむものではないし、ごく限られた人だけが享受できる新しい贅沢でもありません。どの工法を採用するかは、建築家が十分に検討を加えて、施主の要望と可能性を考慮した上で決定されるべき重要な要素です。

建てる、住まうということを全体性の中で考える場合には、個々の基準を突出させることはできず、すべての観点を含めた全体のありかたの最適化だけを考えるべきです。温熱的に快適、カビもない、電磁波もないからいい建物とはいえません。

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