2020年には住宅の省エネ性能を計算で確認することが義務付けられ下のページで算定プログラムも公開されている。http://www.kenken.go.jp/becc/index.html
上の算定式では設定を入力する事で様々な設備機器の1次エネルギー消費量を知る事ができる。これからは常に1次エネルギー消費量で考えなければいけない。今日は換気設備に関する面白い記事があったので紹介する。
住宅の換気設備には第一種換気と第二種換気・第三種換気システムがあることをご存じだろうか?
第一種は給気と排気両方でファンによる機械的な換気を促すシステム、第二種と第三種は給気または排気のどちらか一方で機械的な換気を行い片方は自然給気又は排気ようの穴というシステムだ。
シックハウス問題による法改正で住宅には1時間で0.5回換気、つまり住宅室内空気容量の半分を1時間で入れ変えなければいけないという基準がある。第二種又は第三種換気では冷暖房した空気をそのまま外部に捨ててしまうという問題がある。第一種換気では熱交換というシステムを組み込んで室内排気ロスを低減させることが可能だ。しかし給気と排気で機械的換気を行うことから換気扇の電気代が増すという問題がある。
では第一種、第二種・第三種ではどちらが1次エネルギー消費量が少ないのか?文頭の算定プログラムで試算したのが写真表である。
まず、新しい算定プログラムでダクト式第1種換気の熱交換ありと、ダクト式第3種換気のファンの消費電力を比べる。DCモーターを使った省エネタイプを選ぶと第1種の熱交換ありのほうが年間の一次エネルギー消費量は2.3GJ大きくなった(上の表)。
次に、第1種の熱交換ありで削減できる暖房の一次エネルギー消費量を地域と暖房機器別に見る。この数字が前述した2.3GJよりも大きければ、第1種の熱交換ありを導入したほうが省エネルギーになる(下の表)。
結果は3地域及び4地域(寒冷地域)では間欠・全館連続冷暖房に関わらず第一種換気の方が有利だった。関東地方の多くが含まれる5地域と6地域では、間欠冷暖房では第二種・第三種換気の方が有利、全館連続暖房では第一種換気の方が有利という結果となった。計算の基となった第二種・第三種換気はダクト式DCモーターシステムで、壁付け式ではないことは注意されたい。壁付け式の場合も比消費電力が0.2以下の機器を選定することが必要である。
住環境性能+Design住宅 森建築設計
換気システムと1次エネルギー消費の関係

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