
長期優良住宅
長期優良住宅の解説シリーズ第三回です。今日は長期優良住宅のメリットについて解説します。
長期優良住宅のメリットとしては、税制優遇、金利引き下げ、補助金の3つがあります。この他、将来的には中古戸建て住宅の建物価値方法の見直しにより、住宅を売却する際に一般住宅とくらべて評価額が上がる可能性があります。
(1)税制上の優遇
住宅を新築したときには、所得税から住宅ローン残高の1%を10年間減額できます。消費増税による影響を軽減するための措置として2019年6月までは一般住宅の減税額上限は400万円、認定長期優良住宅は上限が500万円に設定されています。ただし住宅ローン控除はローン残高の1%を所得税と市県民税から差し引く仕組みなので、そもそも所得税と市県民税を年間40万円以上~50万円以上払っている人でないと税制控除を満額得ることはできません。またローン残高が10年間4千万円~5千万円残っている人でないと満額得ることはできません。認定住宅にすれば税制控除額が100万円増額されるのですが、制度の恩恵を得られる人はそれほど多くありません。
住宅ローンを利用しない場合でも認定住宅であれば所得税の控除が受けられる措置があります。認定住宅の性能強化に必要な掛り増し費用が対象で、上限65万円が所得税から控除されます。控除しきれない部分は翌年度の所得税から控除されます。標準的な掛り増し費用は1m2あたり4万3800円で、2017年末までの措置です。
この他にも、登録免許税と不動産取得税について一般住宅よりも優遇措置が設定されています。が優遇される額は大きくはありません。
(2)金利引き下げ
住宅金融支援機構のフラット35を使った住宅ローンで金利引き下げの制度があります。フラット35Sという商品で、認定長期優良住宅は通常よりも低い金利が適用されます。一般のフラット35と比較して、当初10年間、0.6%低い金利が適用されます。例えば、食入金3000千万円、借入期間35年、元利均等返済ボーナス返済無しのケースを想定すると、一般と認定住宅では約174万円総返済額が少なくて済みます。
のですが、現在民間金融機関がフラット35よりも低い固定金利を設定しており、フラット35を使わなければいけない人以外にはあまりメリットはありません。
(3)地域工務店向けの補助金
地域型住宅ブランド化事業という制度で、長期優良住宅建設に対して1戸当たり100万円(地域材を過半に使う場合は20万円増額)を上限に補助が受けられるものです。地域の中小工務店を中心としたグループが国の採択を受けて行うものです。この制度は採択を受けた仕様でないと補助を得ることが出来ないという短所がありますが、採択を受けたグループの仕様に魅力を感じるなら補助金を得るメリットは大きいです。
国は本年度から「地域型住宅グリーン化事業」という制度を策定し認定を受けるグループを募集していることから、近いうちに地域型住宅ブランド化事業の補助金は無くなる可能性が大きいです。「地域型住宅グリーン化事業」については別の日に解説をする予定です。
長期優良住宅のメリットについて解説しました。総合的に考えて、高額所得者と地域工務店向けの補助金を使える人にとってはメリットがありますが、その他一般者にとってはあまりメリットはありません。認定住宅にするためには20万円程度は必要だからです。国の補助金事業も新築からリフォームへ移行しています。
以上、数回にわたり新築の長期優良住宅を解説しました。次回からはリフォーム版の長期優良住宅について解説する予定です。
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