太陽と風を受けるくの字の家 温湿度分析

太陽と風を受けるくの字の家の竣工写真撮影したことをお知らせしてから早くも1週間経ってしまいました。ようやく時間ができたので温湿度分析をお知らせいたします。まずは外皮性能等を提示します。

・延床面積:141.77m2、1階床面積81.25m2、2階床面積60.52m2
・UA値:0.47W/m2K(外皮平均熱貫流率)
・ηAC値:1.4(冷房期日射熱取得率)
・ηAH値:1.9(暖房期日射熱取得率)
・換算Q値:1.58W/m2K(熱損失係数)
・一次エネルギー消費量:75GJ(自立循環型住宅ツール65GJ)

1、夏の室温分析
最初の表は本年8月5日~6日の温湿度グラフです。外気温は両日とも33度くらいまで上昇した二日間でした。外気温の温度計は建物北側の物置の中に設置したデータです。
1階LDKは外気温より1度~2度低い温度で止まっており、2階寝室は外気温同等で止まっています。外気温よりも室温のほうが3度高いとかひどいときは室温40度になってしまう家もあるので、日射遮蔽性能が高く無冷房状態の室温調整が予定通りできたと言えます。冷房は夜10時くらいから1時間半ほど稼働させて就寝されているようです。また1階LDKで朝10時半くらいから室温が急上昇しているのは朝日の影響と思われます。2階寝室は南側に大きな窓を設けていないので室温急上昇は見られません。

1階リビングは室温32度の状態で生活されています。竣工写真撮影時の聞き取りによると会社から帰ってきて家に入ると冷房かけていないのに涼しく感じると言っていたので表面温度のコントロールも上手くいったものと考えられます。

2、夏の温度分布と湿度分析

次のグラフは夏の温度分布と湿度グラフになります。

 

温度分布では1階LDKは室温27度~32.5度で生活されています。2階寝室は26度~33度で寝る直前に冷房を短時間稼働させて寝付くという理想的な使い方をされているようです。

湿度は外部湿度が80%を超える時間帯で室内の室温が70%を超えていますが、多くの時間帯では70%未満でした。70%を超える時間帯が長くなればなるほどカビ発生リスクや木材の腐食リスクが上がるのでそこまでは至っていないと推測できます。

3、冬の温度分析

 

次に冬の温度分析です。本年1月7日から8日の二日間をグラフにしました。外気最適気温は2度、最高気温8度、二日間とも晴れという天気でした。

1階LDKは室温13度まで下がって朝6時から1時間30分ほど暖房稼働させているようです。暖房を切るとすぐに室温が下がり外気温と平行移動するように室温17.5度くらいまで自然上昇して午後3時から室温が下がりだし夜9時に室温16度になるまで無暖房で生活されているようです。その後2時間ほど暖房稼働させています。
2階寝室は寝る直前に1時間半ほど暖房をかけて就寝されているように見られます。一時的な暖房で蓄熱されていないので暖房を切るとすぐに室温が急下降して起きる時間帯で室温15度まで下がるという状態です。
外気温と室温の自然温度差は12度程度でした。

暖房期日射取得率ηAH値1.9をもう少し上げる工夫ができていれば本当の無暖房生活が実現できたかもしれません。これからの課題として取り組みます。

1階LDKは室温17度でも普通に生活できるのでしょう。室温16度になるまで暖房稼働せず暮らしておられるオーナー様の努力がうかがえます。

4、冬の温度分布と室温

 

最後に冬の室温分布と湿度グラフを紹介します。

1階LDKは13度~18度、2階寝室は14度~22度、寝室は暖房稼働時に一時的に高室温となっています。

湿度は1階LDK43%から54%、2階寝室42.5%から52%と50%前後をキープしているので問題ありません。ビニールクロスで室温20度以上にするような部屋では湿度30%以下となってしまいますので湿度コントロールも上手くいったと言えるでしょう。

 

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