
住宅の資産価値
ストック住宅を市場で流通し易くするために国が創設した住宅の認定制度が長期優良住宅です。良質な住宅を長期にわたって大事に使うという考えに基づいて2009年6月に施工された「長期優良住宅法」によって創設されました。
長期優良住宅に認定されると(以下、認定長期優良住宅)、税制や補助金の優遇が受けられます。直近の集計では、戸建て住宅では新築の約2割が長期優良住宅の認定を受けています。申請にかかる費用は書類作成費なども含めて20万円弱、工事費は一般的な住宅と比べると50万円程度割増になります。現在は陳地区住宅だけが認定の対象となっていますが、既存住宅リフォームについても認定制度の構築が進められています。
このように解説すると良いことだらけで、長期間優良な状態を維持できることが保障された住宅のように感じるかもしれませんが、現実はそう甘くはありません。実際に建築されている長期優良住宅の工事現場を見るととても長期間優良な状態を維持できるとは思えないのです。
なにより住宅の長寿命化は住宅の性能だけでなく家族構成の変化や住人の意識によるところが大きく影響しますし、メンテナンスの有無などにも大きく影響を受けます。「普通の住宅と比べると長期間優良な状態を維持できる可能性が高い住宅」と言った方がいいです。
国は中古住宅の減価償却期間の再検討を行っています。長期優良住宅として認定された住宅は、現状の22年から大幅に減価償却年数を引き延ばす方向で検討をしています。この改訂が行われて初めて長期優良住宅の長寿命化の可能性が高まるのです。来るべき改訂に備え、図面に示された仕様を不備なく施工できる知識と熱意のある依頼先を選定することがとても重要です。
今日はここまで、次回は長期優良住宅の認定基準について解説する予定です。
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