省エネ住宅ポイント、長期優良住宅

ここまで11回にわたり省エネ住宅ポイントと長期優良住宅の基準や補助金制度について解説してきました。結局のところ「省エネ住宅ポイント」を使った方がいいのか、「長期優良住宅」認定は取得した方がいいのかを解説します。

(1)省エネ住宅ポイント
こに補助金制度は住宅の省エネ化につながるリフォーム工事の対し1軒あたり30万ポイント(耐震補強などを同時に行う場合最大45万ポイント)を付与する政策です。実際にかかる工事費に対するポイント付与率は10%~25%程度で工事の種類によって変わります。
そもそもリフォーム工事の予定があるのなら断然使った方がいい、という程度のポイント制度です。

内容を見てみると、省エネ住宅ポイント制度というより、窓断熱改修ポイント制度といってもいいくらいに窓断熱改修を中心としてその他工事にほポイントを付けますよという印象です。これは既存窓の内側に窓設置する工事のし易さと、窓改修による高い省エネ化によるものと思います。省エネ化でいうとあまり省エネ化には寄与しない便器交換に高いポイントが与えられるなどメーカーの力加減も見え隠れしています。

とはいえ、もしリフォームを行う予定がおありなら絶対使ったほうがいいです。

予算規模805億円のところ、先ごろ発表された実施金額は25億円でしたので、まだまだ間に合います。

(2)長期優良住宅
長期優良住宅はとても長寿命住宅とは言えない、と解説したとおり名称に騙されてはいけません。耐震化、省エネ化、維持管理性、劣化対策の4項目において、一般の工務店などでも容易に達成できる最低基準を定めたものが長期優良住宅だと認識してください。耐震性と省エネ性はまさに最低基準、とてもこの性能では寿命100年の住宅になるとは思えない最低基準です。

長期優良住宅の認定を取得するためには、確認申請とは別に申請費用20万円程度が必要です。また一般工法と比較すると工事日は50万円ほど上昇します。合計すると70万円ほどの費用が発生することになります。税制優遇などのメリットは30万円ほどありますので差し引きするとコスト的にはマイナスです。このような現実があり、長期優良住宅認定の取得率は、100万円の補助金があった期間の50%から現在は20%に下落しています。補助金なしで認定取得するメリットは少ないと多くの方が判断していることを物語っています。

では長期優良住宅の基準は意味ないものなのか?

一般工務店で建設する建て主にとっては、長期優良住宅の認定を取得することで最低基準をクリアする住宅を建設できるというメリットはあります。比較対象をどこに置くかという問題です。最低基準以下のウサギ小屋のような住宅と比較するとコストメリットは無い。しかし一般工務店で建設する建て主にとっては長期優良住宅の基準を最低基準と考えれば建設費のコストUPはありませんので申請費用20万円程度ののコストUPだけになります。この額ならば税制優遇で十分メリットがありますので認定取得の意味はあるのです。

私のようにすでに長期優良住宅以上の性能の住宅を建設している建築家にとってはどうか。認定取得のために一般化された仕様の厳守が必要で融通が効かないという点で使いづらいです。一般工務店でも建築可能な共通仕様しか認めてくれないために、もっと良い方法があるのに採用できないという問題があるのです。

国の政策は新築住宅の補助事業から5000万戸以上あるといわれる中古住宅の省エネ化に移っています。次回の解説シリーズではリフォーム版の長期優良住宅についてお話する予定です。

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