調和的なプロポーションと形態に注意をはらうー空間の造形ーバウビオロギー25の指針

調和的なプロポーションと形態に注意をはらうー空間の造形ーバウビオロギー25の指針

あなたは体験したことがありますか。古い家が改修され、しゃれた飾りのついた窓が、新しいそっけない樹脂サッシに置き換えられた空間。魅力が失われたのは窓だけではなく、家全体の魅力も損なわれています。

家全体の魅力とは何でしょうか?

窓単体ではないことは言うまでもありません。空間・プロポーション(形)・寸法・マテリアル(仕上げ)・色彩・家具・リズム、これらが全体として調和することで人は魅力的と感じます。壁・窓・ドア・敷居などの区切りで内と外をつくりだす行為が建築です。そして建築家あるいは設計士は、空間を「創造」し、それをある程度「完全な形」にまで仕上げる役割果たします。空間の規模、比率といった要素が心理に大きな影響を及ぼすことはよく知られており、建築家、設計士は大きな役割を担っているのです。

空間の質

すでに少なくともヴィトルヴィヴス(紀元前1世紀、ローマの建築家)依頼、何世代もの造形家、建築家、哲学者たちは調和的なプロポーションについて考えをめぐらし、尺度や調和体系について思考してきました。現在も建築心理学がこのことに取り組んでいます。

森のなかにはわくわくするような変化があります。同じ樹木は一本もありません、幹の太さ、樹皮の色、枝ぶり、葉の形、すべてが異なっています。しかしこの多様性(全体効果)のなかに同一の基本的秩序があるため、私たちはそこに調和を感じるのです。自然や音楽の調和を支えているのはリズムや比率(プロポーション)です。

屋外であれ屋内であれ、空間がそれ(そこ)にふさわしい質を獲得し、その作用を発揮するためには何が必要なのだろうか。空間の持つどのような特徴が人間とその感覚に影響をもたらし、人間の中に意識的あるいは無意識的な反応あるいは共鳴を引き起こすのか。「空間の質」な何をもたらすのかを考えること。建築にあたって心的・精神的要素と物質的要素を統合することが、全体性を考慮する建築家とバウビオローゲにとっての重要な課題です。

フォルムの力

どの建築物にもフォルム(形)があります。人はどのようなフォルムに魅力を感じるのでしょうか?
グラス、あるいは楽器の弦が、ある音のところで共振(共鳴)を始めることは誰もが知っています。同様の効果は人間にも起きます。ある種の思考、感情、シンボル、モノ、あるいはフォルムは、私たちを魅了し私たちの魂の中の何かを「共振(共鳴)」させるのです。現代では、主に物質的な作用が重要視されていますが、フォルムの持つ精神的・心的な力を思い起こす必要があります。

現代人はアナロジー思考とは無縁です。アナロジー思考とは、理性よりも心で思考すること、ないしは知覚することを意味します。それに対し合理的思考は、論理的に考え区分分割し正確に立証するものです。合理的思考はどちらかといえば男性的な思考法です。対照的にアナロジー思考は女性的な思考、直観・感覚、といった概念と結びつきます。そしてどちらの思考も建築のなかに独特な表現形態を伴って現れます。

バウビオロギー建築では、男性的な思考と女性的な思考の双方が交わっていることを推奨しています。まそ、それは可能です。双方の価値が組み合わされ、どちらかの要素がやや優勢になることで初めて。「緊張感」が生まれます。その緊張感は私たちの感覚に養分と刺激を与えます。寝室は静けさや安心感という質、仕事場は外を志向する質が必要です。

寸法

「美は、美しい形態、部分との調査、部分同士の調和、全体との調和から生まれる。それによって建築物は、欠陥のない完全な比率を持った身体として現れる。その身体全体にとっては、すべての部分が不可欠なのである」~アンドレア・パラディオ~

建物が高すぎたり、威圧感があったり、幅がありすぎる建築は、残念ながらそこにゆっくり滞在したいと思わせたりコミュニケーションを促したりするものではありません。伝統的・地域的な建築にもっと目を向けましょう。空間やファサードの寸法や比率は好き勝手に決めてはいけません。しっかりとした根拠から導きだされた尺度のシステムを基礎とするべきです。

多くの民族が、建物を設計するにあたって人間の身体を範としてきました。人間の身体の比率は調和の法則に従っています。尺寸、エレ、フィートといった寸法は、建築にあたっての基準と比率を決定する値となっています。建築における調和をもたらす寸法秩序としては、伝統的に「黄金比」が使われています。数学的に表現すれば、黄金比は1:1.618と表されます。

細部にも注意をはらう

家具や部屋や家全体が本当に調和的で魅力的に見えるためには、そのプロポーションやフォルムのほかに、使用される材料や塗料も重要です。木製サッシは樹脂サッシと別の効果をもっています。ライム(石灰系)塗料は、エマルジョンペイントとは異なる雰囲気を醸し出します。

家具や建物や多くの調度品が、機能はするけれども、愛情が感じられずに冷たく見えることはなんと悲しいことでしょうか。そのような環境が、人々に良い影響を与えないことは誰もが理解できることでしょう。人間に固有な創造性を生かして、美しく、うまく設計された居住環境と作業環境、つまり人間のニーズを支持するゲニウス・ロキ(場所の霊)を創造するための環境をつくりましょう。

BIJバウビオローゲ 森健一郎

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